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3年間、会釈だけの仲だった――コンビニから消えた老紳士を探した会社員が知った「本当の喪失」

名前も知らない常連客の失踪に涙した一人の会社員の告白が、単身社会ニッポンの急所を突いている。
Japanese

3年間、会釈だけの仲だった――コンビニから消えた老紳士を探した会社員が知った「本当の喪失」 · Avonetics

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毎朝7時15分、駅前のコンビニで交わされるのは、小さな会釈ひとつだけ。それでも3年続けば、それは立派な『関係』になる――そのことに気づいたのは、相手が消えてからだった。

語り手は30代の会社員。出勤前のコーヒーを買う店で、いつも同じ70代とおぼしき男性と一緒になった。グレーのハンチング帽に革の鞄。ホットコーヒーのSサイズと朝刊。言葉を交わしたことは一度もない。

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ある月曜日、その定位置が空いていた。翌日も、その翌週も。

『最初は気のせいだと思った。でも二週間経った頃、朝の店が知らない場所みたいに感じられた』と語り手は明かす。

思い切って店員に尋ねても、返ってきたのは『そういえば最近見ませんね』の一言。名前も住所も知らない相手を、それ以上探す手立てはない。心配する『資格』すらない気がした、と語り手は振り返る。

数か月後、別のスタッフから思わぬ続報が届く。男性は娘の住む町へ引っ越したらしい、というのだ。

『レジの前で泣きそうになった。ほっとして、それから急に恥ずかしくなった。私はあの人の何を知っていたんだろうって』

この告白に、共感の声が殺到している。ある人は『引っ越しで行きつけのパン屋に行けなくなった日、失恋みたいな気分になった』と打ち明け、別の人は『毎朝同じ電車で見かけた学生が卒業したらしい春、勝手に寂しくなった』と続けた。

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一方で、冷静な異論もある。『会釈を千回しても、入院した時に来てくれる人はいない。大事なのは深い絆のほうだ』という意見だ。これに対しては『どちらかを選ぶ話じゃない。栄養バランスと同じで両方いる』という反論が寄せられ、議論は白熱している。

実はこの感覚、科学の裏付けがある。社会学では『弱い紐帯』と呼ばれ、たまにしか会わない相手こそが新しい情報や所属感をもたらすという研究が1970年代から積み重なってきた。カフェで店員と一言交わしただけで気分と幸福感が上がった、という心理学の実験結果もある。

日本社会にとって、これは他人事ではない。推計では2040年に全世帯の約4割が単身世帯となり、国は2024年4月に孤独・孤立対策推進法を施行した。孤独はもはや個人の性格の問題ではなく、社会の設計の問題なのだ。

『詮索されない自由こそ都会の良さだ』という声も根強い。気にかける勇気と、踏み込まない節度。その間のどこに線を引くかは、誰にとっても簡単ではない。

それでも語り手は今、レジで一言だけ多く喋るようになったという。『暑いですね、くらいですけど。私も誰かの景色の一部かもしれないので』

この物語の続きと、会釈だけの関係が持つ意外な力について、番組のホストふたりがポッドキャストでじっくり語り合う。

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